少年野球の球速の平均は?小学生・中学生の学年別の目安と、速くなる順番

「うちの子の球速、平均と比べて遅いのかな」。少年野球のピッチャーを持つ親なら、一度は気になりますよね。
こんにちは。投手専門オンライン野球塾・投Laboの野村亮太です。元独立リーグの左投手として、また指導者として、たくさんの小・中学生の投球を見てきました。
結論:
- 学年別の目安は下の表のとおり。ただし全国を代表する公的な平均値はありません
- 個人差がとても大きく、目安から外れていても、それだけで問題とは判断できません
- 同じ学年でも体の成熟に1歳近い差があり、今の数字にはその差も混ざっています
この記事でわかること:
- 学年別の球速の目安と、「平均」という数字の正しい扱い方
- 同じ学年でも差が出る理由(体の成熟と生まれ月)
- 研究でわかっている、球速に関係する体の要素と、家でできるチェック・ドリル
学年別の球速の目安(小学生・中学生)
まず目安から。軟式でのおおよその幅です。
| 学年 | 球速の目安(軟式) |
|---|---|
| 小学1〜2年 | 60〜70km/h くらい |
| 小学3〜4年 | 70〜85km/h くらい |
| 小学5〜6年 | 80〜100km/h くらい |
| 中学生 | 100〜120km/h くらい |
ここで、正直にお伝えしたいことがあります。
学年別の平均球速には、全国を代表する公的な統計がありません。 国や競技団体が全国調査をしているわけではないからです。
実際に計測した研究はありますが、対象は特定のチームや大会の選手です。同じ学年全体の平均とは言えません。
ネットで見かける「小6の平均」も、サイトによってバラバラです。85km/hと書く記事もあれば、90〜100km/hと書く記事もあります。
上の表も、私が現場で見てきた感覚をもとにした投Laboの目安です。研究で決まった基準ではありません。
中学生の球速の目安は? 軟式と硬式のちがい
中学生になると、球速の幅が一気に広がります。同じ学年でも、体の成長がまったく違うからです。
| レベルの目安 | 球速の目安 |
|---|---|
| 中学1年で投げ始めたころ | 90〜100km/h くらい |
| チームの投手として投げている | 100〜115km/h くらい |
| 地区大会で目立つ投手 | 110〜120km/h くらい |
硬式(シニア・ボーイズなど)はボールが重く、同じ子でも軟式とは数字が変わります。軟式の数字と単純には比べられません。
中学生は、学年だけでなく「成長のどの段階にいるか」が大きく関わります。 背が伸びている最中の子は、体の使い方が一時的に崩れて数字が止まることもあります。
「速い」の基準と、100km/hの壁
小学生では、80km/h台が出ていれば十分で、90km/hを超えるとチームのエース級と言われることが多いです。
小学生で100km/hを超える子もいますが、かなりの少数です。「小学生で120km/h」といった数字は、全国でもごく一部の子だと考えてください。
数字が出ていなくても、心配はいりません。小学生で速かった子が伸び悩み、ゆっくりだった子が中学・高校で伸びる——そんな例を、私はたくさん見てきました。
同じ学年でも、体の成熟は1歳近くちがう
同学年の差には、「体ができあがる時期の差」も関係します。
全国大会に出る中学生と、一般の中学生野球選手を比べた研究があります(勝亦ら・2017年)。
身長がいちばん伸びる時期(PHV年齢)は、全国レベルの子が12.3歳、一般の子が13.0歳でした。
生まれ月も合わせて考えると、全国レベルの子は体の成熟がおよそ0.9歳ぶん進んでいると報告されています。
つまり、同じ中学2年生でも、体の中身が1歳近く違うことがあるということ。今の球速の差には、成熟の早さも混ざっています。
身長が伸びれば球速も上がることは、リトルリーグの選手を追いかけた研究でも報告されています(石田・2003年)。成長を待つ時間も、立派な作戦です。
球速には、何が関係している?
「背が小さいから速くならない」と決めつける必要はありません。球速には、体格だけでなく筋力や柔らかさも関係します。
中学の野球クラブチームの投手47名(平均13.4歳)を調べた研究があります(久村・神事・川村/日本トレーニング指導学会)。
分析の結果、次の4つで選手ごとの球速のばらつきの約53%を説明できました。
- 肩の外旋筋力(腕を後ろへひねる力)
- 立ち幅跳びの距離(下半身の爆発的な力)
- 左右の開脚の柔らかさ
- 股関節の股割りの柔らかさ
ここで気をつけたいのは、この研究が示したのは関係があることで、「鍛えれば球速が上がる」と確かめたわけではない点です。
そのうえで研究者は、こう述べています。下半身をやみくもに鍛えるのではなく、力強さと、股関節まわりの動く範囲のバランスが大事だと。
体が小さくても戦い方はあります(体が小さいピッチャーの戦い方)。今の体格で、可能性を決めつけないであげてください。
球速の土台があるか、家でチェック
研究で扱われた項目も参考にしながら、投Laboでは次の3つを見ています。家でも確かめられるので、お子さんと一緒にやってみてください。
| チェック | やり方 | 目安 |
|---|---|---|
| ① 下半身の力 | 両足そろえて立ち幅跳びを3回 | 自分の身長の0.9倍以上跳べる(3回中2回) |
| ② 股関節の柔らかさ | 座って左右に開脚し、10秒キープ | 上体が前に倒せて、ひざが内側に落ちない |
| ③ 体の連動 | 真横からスマホで10球撮る | 足が着いてから腕が出る順番になっている(10球中8球) |
※目安は、投Laboの指導で使っている練習目標です。研究で決まった合否基準ではありません。できないからといって、すぐに問題があるわけではありません。
3つのうち、つまずく場所は子どもによって違います。同じ「球速が出ない」でも、下半身が原因の子、体の開きが原因の子、力みが原因の子がいます。
その切り分けは、実際の動画を見ないと正確にはできません。気になるときは、まず真横からスマホで10球撮って見比べてみてください。
球速の土台をつくるドリル4つ
ここから先は、研究の結果そのものではなく、投Laboが指導で使っている組み立てです。回数は目安で、週2〜3回、投げない日に入れると続きます。
① 立ち幅跳び
やり方:両足をそろえて、前へ思いきり跳ぶ。着地でピタッと止まる。 回数:5回×2セット。 親が見るところ:着地でぐらついていないか。 できているサイン:毎回ほぼ同じ距離に、止まって着地できる。
② 肩の外旋チューブ
やり方:ひじを体につけたまま、軽いチューブを外へゆっくり開く。反動は使わない。 回数:15回×2セット(左右)。 親が見るところ:ひじが体から離れていないか。強すぎるチューブを使っていないか。 できているサイン:最後の1回まで、同じ速さで開ける。
③ 股割りストレッチ
やり方:脚を左右に開いて座り、背すじを伸ばしたまま上体を前へ倒す。痛みの手前で止める。 回数:20秒×3セット。 親が見るところ:背中が丸まっていないか。ひざが内側に落ちていないか。 できているサイン:同じ姿勢で、前回より少し深く倒せる。
④ 片脚立ちからのシャドー
やり方:軸足1本で立ち、2秒止まってから、ゆっくり投げる動きを通す(ボールなし)。 回数:10回×2セット。 親が見るところ:止まったときに、上体が先に突っ込んでいないか。 できているサイン:10回中8回、同じ場所に踏み出せる。
大事な注意です。肩やひじに痛みがあるときは、ドリルより先に投球を止めて、整形外科へ。私たちフォームの専門家は、痛みの診断ができません。投げすぎのサインは球数の目安にまとめています。
やりがちなNG 2つ
NG① スピードガンの数字を追いかける
「あと5km/h速く」と力むほど、体には余計な力が入ります。フォームは崩れ、投げ込みも増えて、肩ひじの負担が上がります。
球速は気合で出すものではありません。私の指導では、余計な力みを減らして全身の動きを整えたほうが、結果的に伸びる子が多いです。
考え方は力みと球速の関係にまとめました。
NG② 重いボールや器具を急いで使う
下半身の力は大事ですが、成長期に重い負荷を急ぐ必要はありません。まずは自分の体重を使った運動で十分です。
加重ボールについては、効果と怪我のリスクの両方が報告されています(プライオボールは小学生に必要?)。
投Laboの考え方
私は、体も力も特別ではない左投手でした。それでも投げてこられたのは、数字を追うより、痛めない体の使い方を大事にしてきたからです。
子どものころの球速だけでは、将来の実力は判断できません。大事なのは、痛みなく、楽しく、投げ続けられることです。
球速アップの進め方は球速アップの方法に、伸び悩んだときの考え方は球速が上がらないときにまとめました。
まとめ
- 学年別の球速には目安があるが、全国を代表する公的な平均値はない。
- 目安(軟式)=低学年60〜70/中学年70〜85/高学年80〜100/中学生100〜120km/h くらい。
- 小学生は80km/h台で十分、90km/h超でエース級と言われることが多い。
- 同じ学年でも体の成熟に差がある(勝亦ら)。今の球速差には、成熟の早さも混ざっている。
- 研究では、肩の外旋筋力・立ち幅跳び・股関節の柔らかさで、球速のばらつきの約53%を説明できた。
- 数字を追って力むより、下半身・股関節・体の連動を整えるほうが近道。
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よくある質問
Q. 小学6年生です。球速が目安より遅いのですが、大丈夫でしょうか?
球速は体格や成長の早さで大きく変わります。目安から外れていても、それだけで問題があるとは判断できません。
今は数字より、フォームと体づくりを大事にしてください。伸び方には個人差があります。
Q. 中学生の球速は、どれくらいが普通ですか?
軟式では100〜115km/hあたりで投げている子が多い印象です。ただし中学生は成長の差が大きく、同じ学年でも幅があります。
硬式はボールが違うので、軟式の数字とそのまま比べないでください。
Q. 小学生で100km/hを超える子は、どれくらいいますか?
かなりの少数です。「小学生で120km/h」といった数字は、全国でもごく一部の子だと考えてください。
出ていなくても心配はいりません。小学生の時点の球速だけで、将来の実力は判断できません。
Q. スピードガンの数字は、どのくらい気にすべきですか?
参考程度で十分です。数字を追いかけて力むと、フォームが崩れたり投げすぎにつながったりします。
数字より、「痛みなく、良いフォームで投げられているか」を見てあげてください。
Q. 体が小さいと、速い球は投げられませんか?
決めつける必要はありません。たしかに身長が伸びると球速も上がりやすいのですが、それだけで決まるわけではありません。
中学生の投手を調べた研究では、下半身の力や股関節の柔らかさも球速と関係していました。