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ピッチャーが後半バテるのはなぜ?球が走らない原因と「投げるスタミナ」の付け方|投手専門コーチ解説

公開 2026.08.17投手専門コーチ 野村亮太

ナイター照明のマウンドで、少年野球のピッチャーが前かがみになり、膝のあたりでボールとグラブを合わせて一呼吸おき、うつむいて立て直そうとしている。顔は帽子のつばとうつむきで特定できない。背景は照明とフェンスがやわらかくぼけた夜のグラウンド

「うちの子、試合の後半になると急に打たれる」

「序盤は良かったのに、だんだん球が走らなくなる」

そんなお子さんの姿を見て、「スタミナがないのかな」と感じたことはありませんか。

こんにちは。投手専門オンライン野球塾・投Laboの野村亮太です。

元独立リーガーの左投手として、また指導者として活動してきました。「後半にバテる」と悩む小・中学生と保護者も、数多く見てきました。

この記事では、ピッチャーが後半に失速する本当の理由と、家でできる対策を、野球未経験の保護者にも分かるようにお話しします。

結論: 後半に球が走らなくなる原因は、体力不足だけではありません。多くは疲れてフォームが崩れることで起きます。だから「もっと走れ」だけでは直りません。カギは、走るスタミナとは別の**「投げるスタミナ(同じ動きを保つ力)」**を育てることです。

「後半にバテる=スタミナ不足」とは限らない

まず、大事なことをお伝えします。

後半の失速を、すべて「体力不足」で片づけないでください。

もちろん体力も関係します。でも、それだけが原因ではありません。

「たくさん走れば後半も投げ切れる」。そう思って走り込みを増やしても、球の走りが戻らないことはよくあります。

なぜでしょうか。理由は、投手のスタミナが1種類ではないからです。

スタミナには2種類ある

投手のスタミナは、大きく2つに分けて考えると分かりやすいです。

種類中身主な練習
走るスタミナ動き続ける体力・回復する力ランニングなど
投げるスタミナ最後まで同じフォームを保つ力良い動きの反復・体のケア

「走るスタミナ」は、心臓や足腰の持久力です。試合を通して動き回る土台になります。

一方の「投げるスタミナ」は、疲れてきても投球フォームを崩さない力のこと。

後半の失速に直結するのは、じつはこちらです。

ここが多くの人の思い違いです。走る力と投げる力は、別々に育てる必要があります。

走り込みそのものの考え方は、投手に走り込みは必要?にまとめました。

なぜ後半に球が走らなくなるのか

では、疲れてくると体には何が起きるのでしょう。

答えはシンプルです。疲れると、体は楽をしようとします

その結果、フォームが少しずつ崩れていきます。

後半に球の勢いが落ちる仕組みを表したイメージ図。横軸は試合の流れで前半から中盤、後半へ進む。縦軸は球の勢い。フォームを整えて省エネで投げる線はゆるやかにしか下がらないが、力任せに投げて疲れを放置した線は後半に大きく落ち込む。落ち込むところに「体が早く開く」「ひじが下がる」「トップが遅れる」という崩れのサインを添えている

疲れたときに出やすい崩れは、だいたい決まっています。

  • 下半身が使えず、腕だけで投げる(手投げ)
  • 体が早く開く(下半身より先に胸が正面を向く)
  • ひじが下がる
  • 腕を上げるのが間に合わない(トップ=振りかぶった位置の遅れ)

こうなると、球の勢いは落ち、コントロールも乱れてきます。

しかも、力に頼って投げる子ほど疲れが早く出ます。だから後半に一気に崩れるのです。

つまり後半の失速は、体力の問題である前に、フォームの問題であることが多いといえます。

同じ「疲れて崩れる」話は、投げ込みは量より質でもふれています。

「もっと走れ」で解決しない理由

ここまで読むと、走らせるだけでは足りない理由が見えてきます。

いくら走る体力をつけても、フォームが崩れやすいままなら、後半の失速は止まりません。

大事なのは、次の2つを同時に育てることです。

  1. 疲れにくい、省エネなフォーム(少ない力で投げられる動き)をつくる
  2. 疲れても崩れにくいよう、良い動きを体にしみ込ませる

力任せの投げ方は、見た目は元気そうでも、体力を早く使い果たします。

反対に、下半身をうまく使い、力を抜いて投げる子は、少ない力で長く投げられます。

力を抜くほど速くなる仕組みは全力で投げないコツ、下半身の使い方は投球は下半身からへまとめました。

家でできること・親が見るポイント

難しく考えなくて大丈夫です。次のことを意識してみてください。

  • 後半に球がバラつき始めたら、そこで区切る。無理に投げ切らせない。
  • 「疲れたら休む」を、さぼりでなく練習の一部と考える。
  • 走り込みだけに頼らず、フォームを整える練習もセットにする。
  • 回復を大切にする。睡眠・食事も立派なスタミナづくり(成長期の食事と回復)。

そして、忘れてはいけない大切なことがあります。

痛みや張りが出たら、その日は投げるのをやめましょう。

疲れをためたまま投げ続けると、フォームが崩れるだけではありません。肩やひじの故障にもつながります(球数と休養の目安は子どもの投げすぎサインと休養)。

投Laboが考える「投げるスタミナ」

僕自身、体が小さく非力な左投手でした。

だからこそ、力任せでは後半まで球が持たないことを、身をもって知っています。

僕を助けてくれたのは、走り込みの量ではありません。力を抜いて、同じ動きをていねいにくり返すことでした。

投Laboが大切にしているのは、「気合いで投げ切れ」という根性論ではありません。

怪我をさせずに・課題を1つずつ・良い動きを整える。これがブレない軸です。

ただ、ここで一つ問題があります。

後半にフォームが崩れているかどうかは、なかなか気づけません。

  • 投げている本人も気づきにくい
  • 見ている親御さんも気づきにくい
  • 崩れ方は子どもによって違う(開きが早い子・ひじが下がる子…)

だからこそ、まずは動画で客観的に見ることが近道になります。

投Laboでは、スマホで撮った投球動画を投手専門コーチが分析し、保護者向け+お子様向けの2部構成レポートでお返しします。

まずはスマホでのフォーム動画の撮り方を確認してみてください。

初回の動画分析は無料です。走る量を増やす前に、後半のフォームがどう崩れているかを見るところから始めてみませんか。

まとめ

  • 後半の失速は、体力不足だけが原因ではない。
  • 投手のスタミナは「走るスタミナ」と「投げるスタミナ」の2種類。後半に効くのは後者。
  • 疲れると体は楽をして、フォームが崩れる(開き・ひじ下がり・手投げ)。これが球の走らない大きな原因。
  • 「もっと走れ」だけでは直らない。省エネなフォームと、良い動きの反復がカギ。
  • 痛み・張りが出たらその日はやめる。回復もスタミナづくりの一部。

後半に球が走らないと感じたら、走る量を数える前に、フォームが崩れていないかを見てあげてください。それが遠回りに見えて、一番の近道です。

よくある質問

Q. スタミナをつけるには、やっぱり走り込みが一番ですか?

走ることは大切ですが、それだけでは足りません。

走るスタミナと、フォームを保つ「投げるスタミナ」は別ものだからです。

走り込みに加えて、良いフォームを反復する練習をセットにすると効果的です(投手に走り込みは必要?)。

Q. 後半になると急にコントロールが乱れます。なぜですか?

疲れてフォームが崩れているサインかもしれません。

体が早く開いたり、ひじが下がったりすると、ボールはバラつきます。

数を投げるより、崩れる前に区切り、良い動きを保つ練習を優先してください。

Q. 何球くらいから疲れに気をつければいいですか?

球数の目安は、年齢や試合の有無で変わります。

数字だけで管理せず、球のバラつき・フォームの崩れ・張りも一緒に見てあげてください。

具体的な球数と休養日の目安は、子どもの投げすぎサインと休養にまとめています。

Q. 後半に肩やひじを痛がります。大丈夫でしょうか?

痛みは「疲れ・投げすぎのサイン」のことが多いので、まず投げるのをやめて休ませてください。

とくに成長期は、疲労がたまると怪我につながりやすい時期です。

痛みや張りが続くとき/投げるたびに痛むときは、様子見せず整形外科(できればスポーツ整形)に相談しましょう。