体を大きくすれば球速は上がる?体格と球速の関係【小・中学生】

「うちの子は細いから、球が遅いのかな」「体を大きくすれば、もっと速くなる?」——お子さんの体格を見て、こう考えたことはありませんか。
チームには、体が大きくて速い球を投げる子がいます。だから「まず体を大きくしなきゃ」と、あせってしまいますよね。
こんにちは。投手専門オンライン野球塾・投Laboの野村亮太です。僕は独立リーグ(プロ野球とは別の、地域のプロリーグ)の左投手として投げてきました。
じつは僕自身、体が小さくて非力な子どもでした。だからこそ、体の大きさと球速の関係を、身をもって考えてきました。
結論:
- 体を大きくすれば必ず速くなる、わけではありません。
- 球速を分けるのは、体の大きさより 体の"連動" です。連動とは「足→お腹まわり→腕」と、力を順に伝えていく体の使い方(=フォーム)のこと。
- 体格は、あれば有利な面もありますが、決定的ではありません。
- 成長期に無理な増量を急ぐより、まずフォームと体づくりを整えるのが近道です。
「大きくすれば速くなる」は、半分だけ正解
たしかに、体が大きいことは球速にプラスへ働く面があります。手足が長いほど、ボールを長く加速させやすいからです。
でも、それだけで球速が決まるわけではありません。
体が大きくても球が遅い子もいれば、小柄でも**球が走る(=球が速い)**子もいます。まわりにも、思い当たる子がいませんか。
球速を大きく左右するのは、じつは 「足→お腹まわり→腕」と体を鎖のようにつなぐ"連動" です(→球速を上げる方法の基本)。
この連動は、体の大きさと関係なく、練習であとから伸ばせます。
なぜ「連動」が速さを分けるのか
下の図を見てください。「体の大きさ」と「連動(体の使い方)」を、たての線とよこの線で分けたものです。
大事なのは、速い・遅いを分けているのが "よこ"ではなく"たて"の線 だということです。
- 連動が上手な子(上の段)は、体が大きくても小さくても、球が走ります。
- 連動が使えない子(下の段)は、体が大きくても球は速くなりません。
つまり、体を大きくすることより先に、体を上手に連動させて使えているかが球速を決めます(→下半身の使い方・体重移動)。
また、この連動は力むほど途切れやすくなります。だから「力いっぱい投げれば速くなる」も、じつは逆のことが多いのです(→力を抜くほど速くなる理由)。
成長期に、無理して体を大きくしない
「じゃあ、体を大きくしても意味がないの?」——そうではありません。
体づくりは大切です。ただ、成長期に "無理やり" 大きくするのは、おすすめしません。
- 体重を増やそうと食べすぎる → 体が重く、動きが鈍くなることも。
- 重いボールや本格的な筋トレを早く始める → 小・中学生には怪我のリスクが高いです。
- 速くしたくて投げ込みを増やす → 肩・肘を痛める原因になります。
体は、大人になる過程で自然に大きくなっていきます。今あせって近道をしようとすると、かえって遠回りになります。
これは投Laboがずっと大切にしている考え方です。根性でたくさん・無理に、ではありません。課題を1つずつ・怪我をせずに積み上げる。急がば回れ、です。
今やるべきことの、正しい順番
では、球速を伸ばすために今やるべきことは何でしょう。おすすめの順番はこうです。
- 正しいフォーム(連動)を身につける。 いちばん効くのに、道具もお金もかかりません。
- 体を柔らかくする。 肩・胸・股関節が硬いと、力が漏れて連動が途切れます(→球速に効く柔軟性)。
- 自分の体重で体をつくる。 重い器具に頼らず、まずは体幹(お腹や背中まわりの、体を支える筋肉)や下半身を、自分の体重で鍛えることから(→小・中学生の体幹トレ)。
- 栄養と睡眠で、自然な成長を支える。 「増やす」より「バランスよく食べて、しっかり寝る」(→成長期の食事と栄養)。
体を大きくすることは、この土台ができたうえで、あとから自然についてくるものです。順番をまちがえないことが大切です。
なお、小柄なお子さんの戦い方は、こちらでくわしくお話ししています(→体が小さいピッチャーの戦い方)。
いちばん大事な「連動」は、自分では見えない
ここで、正直にお伝えしたいことがあります。
球速のカギをにぎる「連動」がうまくできているかは、投げている本人にも、そばで見ている親御さんにも、なかなか見えません。
体の大きさは、見た目で分かります。でも体の使い方は、止まった写真ではなく "動きの流れ" の中に隠れているからです。
しかも、連動のどこがうまくいっていないかは、一人ひとり違います。手投げの子もいれば、体が早く開く(投げる前に胸が正面を向く)子もいます。
だから「体を大きくすれば」と考える前に、まず今のフォーム(連動)を客観的に見てみることをおすすめします。
投Laboでは、スマホで撮った投げる動画を投手専門コーチが分析し、保護者向け+お子様向けの2部構成レポートでお返しします。
初回の動画分析は無料です。カード情報も要りません。お子さんが今、体を上手に使えているかを、まず一緒に見るところから始めてみませんか(→スマホでのフォーム動画の撮り方)。
まとめ
- 速さを分けるのは、体の大きさより"連動"(体の使い方)。大きくすれば必ず速くなるわけではない。
- 体格はあれば有利な面もあるが、決定的ではない。大きくても体の使い方が悪ければ、球は速くならない。
- 成長期に無理な増量・重いボール・投げ込みで急がない。体は自然に大きくなる。
- 今やるべき順番は①フォーム ②柔軟性 ③自重の体づくり ④栄養と睡眠。
- いちばん効く体の使い方は、自分では見えない。動画で外からの目を借りると近道になる。
体の大きさは、選べません。でも、体の使い方は、いくらでも磨けます。あせらず、土台から一緒に育てていきましょう。
よくある質問
Q. 体を大きくすれば、球は速くなりますか?
体が大きいことは、球速にプラスへ働く面もあります。ただ、それだけで速くなるわけではありません。
速い球は「足→お腹→腕」の連動で生まれます。体が大きくても、この使い方ができていないと球は走りません。まずはフォーム(連動)から見直すのが近道です。
Q. 体重を増やすために、たくさん食べさせたほうがいいですか?
「増やす」ことだけを目的に食べすぎると、体が重くなって動きが鈍くなることもあります。
大事なのは量より、バランスよく食べて、しっかり寝ることです。成長期の体づくりは食事と栄養の記事を参考にしてください。心配なときは、栄養士や医療機関に相談するのも安心です。
Q. 体を大きくするために、筋トレや重いボールを始めるべき?
小・中学生のうちは、本格的な筋トレや重いボールは怪我のリスクが高く、おすすめしません。
まずは自分の体重を使った体づくりから。体は成長とともに変わるので、あせらず土台をつくることが、結果的に球速につながります。
Q. まわりの子より小さくて、球も遅いです。今からでも間に合いますか?
はい、間に合います。成長のスピードには個人差があり、今は小さくてもこれから伸びる子はたくさんいます。
今できるのは、フォームと体の柔らかさを整えておくこと。土台さえあれば、体が大きくなったときに球速は自然と乗ってきます(→小柄な投手の戦い方)。