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野球で送球が逸れる子|悪送球の原因と正確に投げるコツ

公開 2026.09.03投手専門コーチ 野村亮太

土の内野グラウンドで、捕球後に目標へ大きく一歩踏み出し、右手に白いボールを構えて送球しようとしている少年の後ろ姿。踏み出した足と体が投げる方向へ向いている。背景の外野の芝・フェンス・空はやわらかくぼけている

「捕るのはいいのに、送球がよく逸れる」。少年野球のお子さんを持つ保護者なら、試合でこんな場面にヒヤッとしたことがあると思います。

せっかくいいプレーで捕ったのに、送球が高くそれてアウトにできない。ベースの手前でワンバウンド、頭の上を越える——。

「肩が弱いのかな」「もっと強く投げれば入るのかな」と悩みますよね。

こんにちは。投手専門オンライン野球塾・投Laboの野村亮太です。私は独立リーグ(プロ野球とは別の、地域のプロリーグ)の左投手としてマウンドに立ってきました。

じつは悪送球の多くは、肩の強さの問題ではありません。投げ方(フォーム)のちょっとしたクセで起きています。

結論: 送球が逸れる原因は、肩の弱さより「①手だけで投げる ②体と足が目標を向いていない ③あわてて投げる」の3つがほとんどです。直すコツは強く投げることではなく、近い距離から・目標へ足を踏み出して・ていねいに投げること。この基本で送球はぐっと安定します。

「肩が弱いから逸れる」ではない

まず、安心してください。送球が逸れるのは、肩の強さや性格のせいではありません。

強い球でも、まっすぐ相手に届かなければ意味がありません。逆に、そこまで速くなくても、正確に胸へ届く送球のほうが守備では役に立ちます。

大事なのは球の速さより、毎回同じように、ねらった所へ投げられることです。これを「送球の安定=再現性(さいげんせい)」と呼びます。

そして送球のフォームは、投球(ピッチング)とまったく同じ土台の上にあります。だから、投げ方のクセを整えると送球も安定していきます。

送球が逸れる、よくある3つの原因

お子さんの送球を思い出しながら読んでみてください。多くは、次の3つのどれか(または重なり)です。

① 手だけで投げている(手投げ)

いちばん多いのが、腕の力だけで投げる「手投げ」です。

体全体を使えず手先だけで投げると、ボールを離す位置(リリース)が毎回ズレます。その結果、高くそれたり、横に曲がったり(シュート)します。

力は、下半身から順番に伝えるのが基本です。

足(下半身)→ お腹まわり(体幹)→ 腕

この順番でつながると、腕は最後にムチのように振られます(→「手投げ」の直し方)。

② 体と足が、目標を向いていない

次に多いのが、投げる方向へ体が向いていないクセです。

正面を向いたまま手だけで投げたり、横を向いたまま腕を振ったりすると、ボールはねらいから外れます。

送球で大事なのは、捕ったあとに、投げたい方向へ足を一歩踏み出すこと。おへそと踏み出した足の先が、目標を向くのが理想です。

下の図で、安定する向きと逸れやすい向きを見比べてみてください。

上から見た送球の向きの図。左は「安定する送球◯」=捕ったあと目標へ足を一歩踏み出し、おへそ(体の向き)と踏み出した足の先が目標のミットへまっすぐ向いている。ボールもまっすぐ飛ぶ。右は「逸れやすい送球✕」=体が正面や横を向いたまま手だけで投げ、足も目標を向いていない。ボールが左右にそれる矢印。共通の合図として「足とおへそを目標へ向ける」と示している

足の向きは、投球フォームでも同じくらい大切です(→踏み出し足の向き)。

③ あわてて、ステップを飛ばしてしまう

試合では「早く投げなきゃ」とあせります。すると、②で大事な足のステップ(一歩踏み出すこと)を飛ばして、その場から投げてしまいます。

でも、速い送球と、あわてた送球は別ものです。

  • 速い送球=捕ってから投げるまでがコンパクトで、短い時間でも足を踏み出せている。
  • あわてた送球=ステップを飛ばし、その場で急いだ結果、形がバラバラ。

急ぐときほど、まず「一歩踏み出す」を省かないこと。これだけで送球はぐっと安定します。

家でできる、送球を安定させる練習

むずかしい道具は要りません。親子のキャッチボールが、いちばんの練習です。

ポイントは4つだけです。

  1. 近い距離から始める。 まずは近くで、相手の胸へていねいに。届くようになったら少しずつ離します。
  2. 目標へ足を踏み出す。 捕ったら、投げたい方向へ一歩。おへそと足先を目標へ向けます。
  3. 体全体で投げる。 手だけにしない。「足→お腹→腕」の順でつなぐ意識を持ちます。
  4. 強く投げない。 力むほど形は崩れます。まずはコントロール、速さは後からです。

近い距離での正しいキャッチボールが、送球のすべての土台になります(→キャッチボールの正しいやり方)。

一人のときは、壁に的を作って投げる壁当ても効果的です(→壁当て練習)。

よくある誤解:「強く投げれば入る」

いちばん多い思い込みが、「もっと強く投げれば入る」です。でも、じつは逆のことが多いです。

強く投げようとするほど体は力み、腕だけが先に振れて、ねらいはむしろ外れます。ここまでの3つの原因を、表で見比べておきましょう。

逸れやすい送球安定する送球
いきなり強く・速く投げる近い距離からていねいに
手だけで投げる足→お腹→腕でつなぐ
体が目標を向いていない足とおへそを目標へ向ける
あわててステップを飛ばす一歩踏み出してコンパクトに

コントロールの正体も、じつは同じ「フォームの再現性」です(→コントロールを良くする方法)。

送球のクセは、自分では見えない

投Laboが大切にしているのは、根性でたくさん投げ込むことではありません。怪我をさせずに・課題を1つずつ・正しい形を繰り返すことです。

私自身、体は小さくて非力でした。それでも、速さより正確さと再現性を磨いたことが、独立リーグまで投げ続けられた土台になりました。

ここで正直にお伝えしたいことがあります。送球が逸れる原因は、一人ひとり違います。手投げの子もいれば、足の向きの子もいます。

そして、その原因は投げている本人にも、隣で見ている親御さんにも、なかなか見えません。止まった写真ではなく、動きの「流れ」の中に隠れているからです。

投Laboでは、スマホで撮った投げる動画を投手専門コーチが分析し、保護者向け+お子様向けの2部構成レポートでお返しします。

初回の動画分析は無料です。カード情報も要りません。送球や投げ方の"今のクセ"を、まず客観的に見るところから始めてみてください(→スマホでのフォーム動画の撮り方)。

まとめ

  • 送球が逸れるのは、肩の弱さより投げ方のクセが原因のことが多い。
  • よくある3原因は、①手投げ ②体と足が目標を向いていない ③あわてて投げる
  • 直すコツは強さではなく、近い距離から・目標へ足を踏み出して・ていねいに
  • 強く投げれば正確になる、は逆。正確さが先、速さは後からついてくる。
  • クセは自分では見えない。動画で外からの目を借りると近道になる。

送球は、試合で目立つプレーです。だからこそ、あせらず土台から。毎日のていねいな一球を、親子で積み上げていきましょう。

よくある質問

Q. 送球が高くそれてしまいます。何が原因ですか?

高くそれる送球は、ボールを離すのが早いか、**体が早く開く(投げる前に胸が正面を向いてしまう)**ことが多いです。手だけで投げているときにも起きやすい症状です。

まずは近い距離で、相手の胸へていねいに投げる練習から。足を目標へ踏み出し、体全体で投げる形を確認してください。それでも続くときは、動きのクセを動画で見てみるのが近道です。

Q. 肩を強くすれば、送球は安定しますか?

肩の強さと、送球の安定は別のものです。強い球でも、形が崩れていれば逸れます。

まずは正確さ(フォームの再現性)を優先してください。肩の強さそのものについては、こちらもご覧ください(→肩を強くするには?)。

Q. 「もっと強く投げろ」と声をかけても大丈夫ですか?

あまりおすすめしません。強く投げようとすると力んで、かえって形が崩れやすいからです。

「胸へていねいに」「足を向けよう」など、やることを1つだけ具体的に伝えてあげてください。うまくいったときにほめると、お子さんは伸びます(→少年野球の親の声かけ)。

Q. 送球のときに肘や肩を痛がります。練習を続けていいですか?

痛みがあるときは、練習を止めてください。「もう少し」は禁物です。

手投げや無理なフォームは、肩・肘の負担が大きくなります。痛みや張りが続くときは、我慢させず医療機関へ相談してください(→子どもの投げすぎサインと球数の目安)。