野球で送球が逸れる子|悪送球の原因と正確に投げるコツ

「捕るのはいいのに、送球がよく逸れる」。少年野球のお子さんを持つ保護者なら、試合でこんな場面にヒヤッとしたことがあると思います。
せっかくいいプレーで捕ったのに、送球が高くそれてアウトにできない。ベースの手前でワンバウンド、頭の上を越える——。
「肩が弱いのかな」「もっと強く投げれば入るのかな」と悩みますよね。
こんにちは。投手専門オンライン野球塾・投Laboの野村亮太です。私は独立リーグ(プロ野球とは別の、地域のプロリーグ)の左投手としてマウンドに立ってきました。
じつは悪送球の多くは、肩の強さの問題ではありません。投げ方(フォーム)のちょっとしたクセで起きています。
結論: 送球が逸れる原因は、肩の弱さより「①手だけで投げる ②体と足が目標を向いていない ③あわてて投げる」の3つがほとんどです。直すコツは強く投げることではなく、近い距離から・目標へ足を踏み出して・ていねいに投げること。この基本で送球はぐっと安定します。
「肩が弱いから逸れる」ではない
まず、安心してください。送球が逸れるのは、肩の強さや性格のせいではありません。
強い球でも、まっすぐ相手に届かなければ意味がありません。逆に、そこまで速くなくても、正確に胸へ届く送球のほうが守備では役に立ちます。
大事なのは球の速さより、毎回同じように、ねらった所へ投げられることです。これを「送球の安定=再現性(さいげんせい)」と呼びます。
そして送球のフォームは、投球(ピッチング)とまったく同じ土台の上にあります。だから、投げ方のクセを整えると送球も安定していきます。
送球が逸れる、よくある3つの原因
お子さんの送球を思い出しながら読んでみてください。多くは、次の3つのどれか(または重なり)です。
① 手だけで投げている(手投げ)
いちばん多いのが、腕の力だけで投げる「手投げ」です。
体全体を使えず手先だけで投げると、ボールを離す位置(リリース)が毎回ズレます。その結果、高くそれたり、横に曲がったり(シュート)します。
力は、下半身から順番に伝えるのが基本です。
足(下半身)→ お腹まわり(体幹)→ 腕
この順番でつながると、腕は最後にムチのように振られます(→「手投げ」の直し方)。
② 体と足が、目標を向いていない
次に多いのが、投げる方向へ体が向いていないクセです。
正面を向いたまま手だけで投げたり、横を向いたまま腕を振ったりすると、ボールはねらいから外れます。
送球で大事なのは、捕ったあとに、投げたい方向へ足を一歩踏み出すこと。おへそと踏み出した足の先が、目標を向くのが理想です。
下の図で、安定する向きと逸れやすい向きを見比べてみてください。
足の向きは、投球フォームでも同じくらい大切です(→踏み出し足の向き)。
③ あわてて、ステップを飛ばしてしまう
試合では「早く投げなきゃ」とあせります。すると、②で大事な足のステップ(一歩踏み出すこと)を飛ばして、その場から投げてしまいます。
でも、速い送球と、あわてた送球は別ものです。
- 速い送球=捕ってから投げるまでがコンパクトで、短い時間でも足を踏み出せている。
- あわてた送球=ステップを飛ばし、その場で急いだ結果、形がバラバラ。
急ぐときほど、まず「一歩踏み出す」を省かないこと。これだけで送球はぐっと安定します。
家でできる、送球を安定させる練習
むずかしい道具は要りません。親子のキャッチボールが、いちばんの練習です。
ポイントは4つだけです。
- 近い距離から始める。 まずは近くで、相手の胸へていねいに。届くようになったら少しずつ離します。
- 目標へ足を踏み出す。 捕ったら、投げたい方向へ一歩。おへそと足先を目標へ向けます。
- 体全体で投げる。 手だけにしない。「足→お腹→腕」の順でつなぐ意識を持ちます。
- 強く投げない。 力むほど形は崩れます。まずはコントロール、速さは後からです。
近い距離での正しいキャッチボールが、送球のすべての土台になります(→キャッチボールの正しいやり方)。
一人のときは、壁に的を作って投げる壁当ても効果的です(→壁当て練習)。
よくある誤解:「強く投げれば入る」
いちばん多い思い込みが、「もっと強く投げれば入る」です。でも、じつは逆のことが多いです。
強く投げようとするほど体は力み、腕だけが先に振れて、ねらいはむしろ外れます。ここまでの3つの原因を、表で見比べておきましょう。
| 逸れやすい送球 | 安定する送球 |
|---|---|
| いきなり強く・速く投げる | 近い距離からていねいに |
| 手だけで投げる | 足→お腹→腕でつなぐ |
| 体が目標を向いていない | 足とおへそを目標へ向ける |
| あわててステップを飛ばす | 一歩踏み出してコンパクトに |
コントロールの正体も、じつは同じ「フォームの再現性」です(→コントロールを良くする方法)。
送球のクセは、自分では見えない
投Laboが大切にしているのは、根性でたくさん投げ込むことではありません。怪我をさせずに・課題を1つずつ・正しい形を繰り返すことです。
私自身、体は小さくて非力でした。それでも、速さより正確さと再現性を磨いたことが、独立リーグまで投げ続けられた土台になりました。
ここで正直にお伝えしたいことがあります。送球が逸れる原因は、一人ひとり違います。手投げの子もいれば、足の向きの子もいます。
そして、その原因は投げている本人にも、隣で見ている親御さんにも、なかなか見えません。止まった写真ではなく、動きの「流れ」の中に隠れているからです。
投Laboでは、スマホで撮った投げる動画を投手専門コーチが分析し、保護者向け+お子様向けの2部構成レポートでお返しします。
初回の動画分析は無料です。カード情報も要りません。送球や投げ方の"今のクセ"を、まず客観的に見るところから始めてみてください(→スマホでのフォーム動画の撮り方)。
まとめ
- 送球が逸れるのは、肩の弱さより投げ方のクセが原因のことが多い。
- よくある3原因は、①手投げ ②体と足が目標を向いていない ③あわてて投げる。
- 直すコツは強さではなく、近い距離から・目標へ足を踏み出して・ていねいに。
- 強く投げれば正確になる、は逆。正確さが先、速さは後からついてくる。
- クセは自分では見えない。動画で外からの目を借りると近道になる。
送球は、試合で目立つプレーです。だからこそ、あせらず土台から。毎日のていねいな一球を、親子で積み上げていきましょう。
よくある質問
Q. 送球が高くそれてしまいます。何が原因ですか?
高くそれる送球は、ボールを離すのが早いか、**体が早く開く(投げる前に胸が正面を向いてしまう)**ことが多いです。手だけで投げているときにも起きやすい症状です。
まずは近い距離で、相手の胸へていねいに投げる練習から。足を目標へ踏み出し、体全体で投げる形を確認してください。それでも続くときは、動きのクセを動画で見てみるのが近道です。
Q. 肩を強くすれば、送球は安定しますか?
肩の強さと、送球の安定は別のものです。強い球でも、形が崩れていれば逸れます。
まずは正確さ(フォームの再現性)を優先してください。肩の強さそのものについては、こちらもご覧ください(→肩を強くするには?)。
Q. 「もっと強く投げろ」と声をかけても大丈夫ですか?
あまりおすすめしません。強く投げようとすると力んで、かえって形が崩れやすいからです。
「胸へていねいに」「足を向けよう」など、やることを1つだけ具体的に伝えてあげてください。うまくいったときにほめると、お子さんは伸びます(→少年野球の親の声かけ)。
Q. 送球のときに肘や肩を痛がります。練習を続けていいですか?
痛みがあるときは、練習を止めてください。「もう少し」は禁物です。
手投げや無理なフォームは、肩・肘の負担が大きくなります。痛みや張りが続くときは、我慢させず医療機関へ相談してください(→子どもの投げすぎサインと球数の目安)。