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サイドスローの投げ方とは?向いている子の特徴と、腕の位置を変えるときの注意点を投手専門コーチが解説

公開 2026.10.07投手専門コーチ 野村亮太

早朝の晴れたグラウンドで、少年野球のピッチャーが後ろ姿で、腕を体の横の低い位置から振ってボールを投げる瞬間。横手投げ(サイドスロー)の低い腕の角度が横から分かる。右側で大人が後ろ姿で見守り、遠くに山並みがかすむ。二人とも後ろ姿で顔は分からない

「サイドスローにしたい」とお子さんが言い出した。横から投げる姿を見て、少し不安になった。そんな保護者の方へ。

元独立リーグ(プロ野球とは別の、プロの舞台)の左腕で、いまは投手専門のコーチをしています。

結論:

  • サイドスロー=腕を地面と平行に近い高さで、横から投げる投げ方
  • 腕の高さは、腕だけでなく「体の傾き」で大きく変わる。腕だけ下げるのは危険
  • サイドが合いやすいのは、骨盤が横に回るタイプ・上体を傾けるのが苦手な子(私の指導での見立て)
  • 無理に変えない。まずは本人に「なぜ変えたいか」を聞くのが先

この記事でわかること

  • サイドスローの投げ方と、腕だけ下げてはいけない理由
  • サイドスローが向いている子の特徴
  • 腕の位置を変えるときの注意と、家でできるチェック・ドリル

サイドスローの投げ方とは?横から投げるコツ

サイドスローとは、腕を地面と平行に近い高さで、横から投げる投げ方です。

打者から見ると、ボールが横から来るように見えます。横に曲がる変化や、独特の見え方が武器になります。

4つの投げ方の違いは、オーバースロー・サイドスローとは?4種類の違いで表にまとめています。

ここで、いちばん大事なことを先に言います。

横から出るのは、腕だけを下げるからではありません。 上体を起こしたまま投げると、腕が横から出ます。腕の高さは、体の傾きと肩の角度で変わるのです。

サイドスローの投げ方は、大きく3つです。

  1. 上体を横に倒しすぎず、やや起こしたまま投げる
  2. 肘は肩のラインより下げない(腕だけを下ろさない)
  3. 下半身から回して、体の回転に腕がついてくる

このうち、いちばんの落とし穴が「2」です。

くわしくは、このあとの「腕だけ下げると肘が落ちる」で説明します。

「サイドスローにしたい」と言われたら、まず理由を聞く

お子さんが「サイドにしたい」と言ったとき、すぐに答えを出す必要はありません。

現場から: 私はまず、理由を聞きます。「かっこいいから」なのか、「今の投げ方だと投げにくいから」なのか。本人がやりたいという意向なら、止めません。

理由によって、答えが変わるからです。

  • かっこいいから → 本人がやってみて、しっくりくるなら試してOK
  • 投げにくいから → 角度より先に、肘が下がっていないかを確かめる

「投げにくい」が理由のときは、注意が必要です。

角度を変えても、投げにくさの原因が別にあれば、解決しないからです。まずは今のフォームを見直しましょう。

サイドスローが向いている子の特徴

すべての子にサイドスローが合うわけではありません。

現場から: サイドスローが合うのは、骨盤が横に回るタイプの子です。もう一つは、投げるときに上体を傾けるのが苦手な子です。

ここでいう「骨盤が横に回る」とは、腰がコマのように水平に回る動きのこと。

反対に、上から投げる(オーバースロー)には、体を横に倒す動きが必要です。この傾けが苦手な子は、横から投げるほうが自然になります。

つまりサイドスローは、「かっこいい型」ではなく、その子の体の回り方に合うかどうかで選ぶものです。

合うかどうかは、本人がやってみて「しっくりくる」かが、いちばんの目安になります。

腕だけ下げると肘が落ちる|サイドスローが崩れる原因

ここが、この記事でいちばん大事なところです。

リリース(ボールを離す瞬間)を低くしたいからと、腕だけを下げてはいけません。

右肩・左肩・ひじを結ぶ「SSEライン」の図解。パネルA=上体を起こすとラインがほぼ水平になり、腕が横から出る(サイドスロー・ひじは線の上)。パネルB=上体を横に傾けるとラインごと傾き、腕が上から出る(オーバースロー・ひじは線の上)。パネルC=体はそのままで腕だけ下げると、ひじが肩のラインより下に落ちる(肘下がり・×)。3枚とも肩2点とひじを結ぶ線と角度だけで示し、人体は描かない

投げる瞬間、右肩・左肩・ひじは、ほぼ一直線に並びます。この線を、ここでは「SSEライン」と呼びます(肩・肩・ひじの頭文字です)。

現場から: 私の考えでは、オーバースローとサイドスローで、体と腕の位置関係はあまり変わりません。SSEラインは、どの投げ方でもほぼ変わらないと感じています。変えるのは上半身の傾きで、それにつれて腕の高さが変わっていくイメージです。

上の図を見てください。

  • 上体を起こす → 線が水平になり、腕は横から出る(サイドスロー)
  • 上体を横に傾ける → 線ごと傾き、腕は上から出る(オーバースロー)

つまり、体の傾きを変えれば、腕の高さも変わります。

くわしくは、腕の高さは体の傾きと脇の開き(肩の角度)の組み合わせで決まる、という研究もあります(4種類の違い)。

ところが、体の傾きはそのままで腕だけ下げると、どうなるでしょうか。

ひじが肩のラインより下に落ちます。これが「肘下がり」です。

肘下がりは肩やひじの負担につながるとされます。ただし、肘の高さだけで危険かどうかを決められるわけではありません。だから私は、腕だけを無理に下げていないか、を見る目安にしています。

現場から: リリースを低くしたいからと、体の傾きを意識せず腕だけ下げようとすると、故障につながります。だから、変えるなら腕ではなく体の傾きから、が私の考えです。

サイドスローは肘にやさしい?研究はこう分かれている

「サイドにすれば肘にやさしい」と聞いて、変えようとする方がいます。

先に結論を言うと、「肘にやさしいから」は、角度を変える理由になりません。 研究によって、見ている側面も結果の向きもちがうからです。

  • 実験室の研究:サイドスローのほうが、投げる瞬間の肘の内側の負担が大きかった(2009年)
  • 大リーグの記録:横に近い投げ方ほど、怪我で離脱する期間が短いという関連があった(2026年・大人のプロ)

測っているものが別なので、どちらが安全とは決められません。どちらも大人が対象で、成長期の子に当てはまるとも限りません。だから私は「サイドは安全」とも「危険」とも言いません。

もう一つ、知っておいてほしい研究があります。

トレードオフをシーソーで示した図解。左の皿=「上体を大きく横に倒す」→球速がわずかに上がる(上向き矢印)。右の皿=そのぶん肘・肩の負担も増える(上向き矢印)。支点のラベル=「だから『速くなる』『安全』で角度は変えない」。皿と矢印とラベルだけで示し、人体は描かない

研究では、上体を横に倒すほど球は少し速くなる一方で、肘や肩の負担も大きくなることが分かっています。

速さと負担は、シーソーのような関係です。見た目の角度のために、どちらかへ無理に振る必要はありません。

角度より気をつけたいのは、肘下がりと投げすぎです。

では、お子さんの横投げに無理が出ていないか、ここから家で確かめていきましょう。

【セルフチェック】家で確かめる3つ(合格の目安つき)

横投げに無理が出ていないか、家でも確かめられます。スマホが1台あればOKです。

下の目安は、投Laboの練習で使っている目標です(ルールの基準ではありません)。

① 肘が肩のラインより下がっていないか

  • やり方:後ろから、投げる瞬間を10球撮る
  • 合格の目安:10球中8球、両肩とひじがほぼ一直線

② 力を抜いても、同じ高さから出るか

  • やり方:楽に5球、続けて強めに5球、正面から撮る
  • 合格の目安:楽でも強めでも、腕の出る高さが変わらない

③ 投げたあと、痛みや違和感がないか

  • やり方:投げたあとに聞く・様子を見る
  • 合格の目安:肩やひじの痛み・違和感が一度もない

②で高さが大きく変わるときは、力みなど、何かで動きが崩れているのかもしれません。動作全体を見るきっかけにしてください。

このチェックで見たいのは、上手・下手ではありません。

  • 大切なのは「無理な形になっていないか」を見つけること
  • ただし、体に合った横投げか、肘が落ちた横投げかは、本人にも親にも見分けづらい(動きが速いため)

だからこそ、まずは真横と後ろからスマホで撮るのがおすすめです。あとからゆっくり見返すと、崩れが分かりやすくなります。

無理なく投げるためのドリル4つ

強く投げず、動きの形を整えるのが目的です。回数は目安で、週2〜3回で十分です。

自宅のリビングで、子どもがタオルを持ち、腕を横の高さに通すシャドー練習をしている横からの様子。かたわらで親がスマホを構えて動きを撮っている。道具はタオルだけ

① 力を抜いたキャッチボールで「今の高さ」を知る

  • やり方:5mほどの距離で、力を抜いて楽に5球投げる。親が正面から撮る。
  • 回数×セット:楽に5球×2セット。
  • 親が見るところ:毎回、腕の出る高さが同じか。
  • できているサイン:5球とも、ほぼ同じ高さから腕が出る。楽に投げたときの高さを、目安として覚えておきましょう。

② 体の傾きで高さを作る「傾けシャドー」

  • やり方:ボールを持たず、上体の傾きだけを変えて投げる動きをする。腕の高さは「下ろす」のではなく「体の傾きで変える」。
  • 回数×セット:10回×2セット。
  • 親が見るところ:腕だけを下げていないか。体の傾きで高さが変わっているか。
  • できているサイン:傾きを起こすと腕が横から、傾けると腕が上から出る。

③ SSEラインを確かめる「止めシャドー」

  • やり方:ボールを持たずに投げる動きをして、トップ(手を頭の後ろまで引いた形)で2秒止まる(シャドーピッチング)。
  • 回数×セット:5回×2セット。
  • 親が見るところ:後ろから見て、両肩とひじがほぼ一直線か。
  • できているサイン:止まった形で、ひじが肩の高さにある。

④ 下半身から回す「ステップスロー」

  • やり方:片足で立ち、踏み出してから8割の力で投げる。7〜10mの距離で。
  • 回数×セット:10球。
  • 親が見るところ:腕だけで投げていないか。踏み出した足が着いてから、体が回っているか(下半身の使い方)。
  • できているサイン:力を入れすぎなくても、ボールが相手まで伸びていく。

やりがちなNG→正しい方向

サイドスローでよくある勘違いを、正しい方向とセットで整理します。

  • NG①:リリースを低くしたくて、腕だけを下げる → 腕だけ下げると、ひじが肩のラインより落ちます。変えるなら、腕ではなく体の傾きから。
  • NG②:「サイドは安全だから」という理由で変える → 研究でも結論は分かれています。安全を理由に角度は変えません。気にするのは肘下がりと投げすぎです。

そして、逆のパターンにも注意です。

「もっと上から投げなさい」と、無理に上から投げさせるのも良くありません。

現場から: 無理に腕を上げようとすると、肩がこわばり、すくむような形になります。すると、かえって腕が上がりにくくなる。その状態で無理に上げると、怪我につながります。

上から投げさせたいときも、腕だけを上げるのではなく、体の傾きで高さを作ります。そのほうが、肘が落ちにくくなります。

大事な注意です。肩やひじに痛みがあるときは、投げ方を変える前に投球を止めて、整形外科へ。私たちフォームの専門家は、痛みの診断ができません。投げすぎのサインは球数の目安にまとめています。

投Laboの考え方:型に当てはめない

私自身、体も大きくなく、力も強くありませんでした。

それでも投げてこられたのは、自分に合った自然な投げ方を大切にしてきたからです。

「この型にしなさい」と押しつけず、その子の自然な動きを土台にする。腕ではなく体の傾きを整える。怪我をさせずに・課題は1つずつが、投Laboの考え方です。

ただ、横投げに無理が出ていないかは、家で見ているだけでは切り分けにくいものです。

投Laboでは、お子さんのフォームを初回無料で動画分析しています。気になる方は、無料のフォーム分析から、まずは動きを見せてください。カード情報も要りません。

まとめ

  • サイドスロー=横から投げる投げ方。横から出るのは、腕を下げるからではなく上体を起こすから
  • 腕の高さは、体の傾きと肩の角度で変わる。腕だけ下げると肘が落ち、肩やひじの負担につながる
  • サイドが合いやすいのは、骨盤が横に回るタイプ・上体を傾けるのが苦手な子(私の指導での見立て)
  • 「サイドは安全」とは研究でも言い切れない。角度より肘下がりと投げすぎに注意
  • 家のチェックは①肘が下がらない②高さがそろう③痛がらないの3つ

お子さんに合った横投げか、肘に無理がないかは、本人にも親にも見えにくいものです。動画で見極めたい方は、初回無料の動画分析を使ってみてください。

よくある質問

Q. サイドスローにすると、コントロールは良くなりますか?

一概には言えません。横の変化や独特の見え方が武器になる子もいます。

ただ、角度を変えるより先に、毎回同じ動きでそろえるほうが、結果として安定しやすいです(コントロールを良くする方法)。

Q. 右投げと左投げで、サイドスローの教え方は違いますか?

基本は同じで、左右が反対になるだけです。

右肩・左肩・ひじが一直線に並ぶこと、腕ではなく体の傾きで高さを作ること。この考え方は、右でも左でも変わりません。

Q. 何年生から、サイドスローに変えてもいいですか?

年齢での線引きはしていません。本人がやってみて、しっくりくるかが先です。

むしろ成長期は、1つの型に固めるより、自然な動きを大切にするほうが伸びます。迷うなら急がないでください。

Q. サイドスローにすると、球は遅くなりますか?

腕の角度で球速に差は出なかった、という研究があります。サイドだから遅い、とは限りません。

球の速さを決めるのは、角度より下半身から腕へ力を伝える動きです。

Q. 一度サイドスローにしたら、もう元に戻せませんか?

戻せます。やってみて「しっくりこない」と感じたら、元の投げ方に戻してかまいません。

合う形を探している途中、と考えてください。ただし、肩やひじに痛みが出たときは、戻すより先に投球を止めて、整形外科を受診してください。痛いまま投げ続けないことが、いちばん大事です。