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子どものすねが痛いはシンスプリントかも|成長痛との見分けと受診の目安

公開 2026.08.19投手専門コーチ 野村亮太

曇り空のやわらかい光のなか、少年野球のユニフォームを着た選手がダグアウトのベンチに腰かけ、片方の足を前に伸ばしてうつむき、すね(下腿の前)にそっと手をあてている横向きの姿。顔は帽子のつばの影とうつむきで特定できない

「すねが痛い」を"成長痛"で片づける前に

「すねが痛い」と言うわが子。「成長痛でしょ」と、つい様子を見てしまいますよね。

でも、走る量の多い子のすねの痛みには、ただの成長痛とは違うサインがまじっていることがあります。

その代表が、成長期に多い**シンスプリント(脛骨過労性骨膜炎/けいこつかろうせいこつまくえん)**です。

早く気づいて整形外科で診てもらえば、うまく治していけます。反対に「そのうち治る」と続けると、長引くことがあります。

はじめまして、投Laboの野村です

私は元独立リーグの左ピッチャー(浦和学院→大東大)で、いまは小・中学生の投球を専門に見ているコーチです。

現役時代から、「痛みを我慢して続ける」ことのこわさを、身をもって知っています。

この記事では、成長期の子に多いすねの痛み=シンスプリントを、野球が未経験の保護者にもわかるように整理します。

結論:

  • 正体:シンスプリントは、すねの内側に負担が積み重なって起こる成長期の使いすぎのサイン。走る・跳ぶが多い子に起こりやすい
  • 見分けのヒントすねの内側の広い範囲が、運動中や運動後に痛むなら、成長痛と決めつけず整形外科へ
  • 見のがしたくないサイン:1点の激痛や、休んでも・夜も痛むときは疲労骨折の可能性も(下の【医療注意】へ)
  • いちばん大事なこと:早く気づいて休めば、うまく治せる。「様子見」で我慢して続けるのがいちばんのリスク

【医療注意】 この記事は保護者向けの一般的な情報で、診断ではありません。次のときは様子見せず、早めに整形外科を受診してください。

  • すねの1点を押すと飛び上がるほど痛い(→疲労骨折の可能性・早めに)
  • 休んでいても痛い・歩くだけで響く・夜もズキズキする(→早めに受診を)
  • すねが赤く腫れて熱をもつ・発熱をともなう(→すぐに受診を)
  • 痛みが2週間以上つづく/運動のたびにくり返す(2週間待たずとも、押すと痛いがつづくなら早めに)

すねの痛みは、疲労骨折など別の原因がかくれていることもあります。長引く痛みは自己判断せず、整形外科で確かめてください。

そもそも「シンスプリント」ってなに?

シンスプリントは、すねの内側(下のほう)に起こる、成長期の使いすぎのサインです。脛骨過労性骨膜炎とも呼ばれます。

すねには「脛骨(けいこつ)」という太い骨があり、その内側にふくらはぎの奥の筋肉がついています。

走ったり跳んだりするたびに、その筋肉がすねの骨膜(骨をつつむうすい膜)を引っぱる。これがくり返されると、骨膜のまわりに炎症が起きて痛む、と言われています。

大きな特ちょうは、走る量が増える成長期に多いことです。

とくに、部活動などで運動量が一気に増える中学生ごろに増えやすいとされます。あくまで目安で、小学生の高学年でも起こります。

まだ体が育っていく時期に、急な負担が重なって起こりやすい痛みなのです。

なぜ走る子のすねに起こるの?

シンスプリントは、走る・跳ぶ・止まるをくり返すスポーツに多いとされます。

野球も、じつはその動きのかたまりです。

  • ベースランニングで全力で走る・急に止まる
  • 守備でダッシュしたり、ジャンプしたりする
  • ハードなアップや走り込みをくり返す

サッカーや陸上でも多いのですが、走る場面の多い野球でも、すねに負担が集まりやすいのです。

さらに、ふくらはぎが硬い子は要注意です。成長期は骨と筋肉の育つ速さがずれて、一時的に突っぱりやすくなります。

すると、すねの骨をより強く引っぱるのです。ほかにも、次のようなことが負担を増やします。

  • 急に練習量や走る量が増えた
  • 硬い地面で走る・跳ぶことが多い
  • クッションの少ない、底のかたい靴でプレーしている
  • 扁平足(土踏まずが低い)など足の形のクセ

痛みのサインを無視して使いすぎる。この点では、投げすぎで肘を痛めるのと根っこは同じだと私は思っています。

だからこそ、投げすぎのサインと休養を親が見てあげることが、肘もすねも守る第一歩になります。

「成長痛」「シンスプリント」「疲労骨折」を分ける

同じ"すねの痛み"でも、中身はいくつかに分かれます。

見分けの目安は「痛む場所」「押したとき」「痛むとき」の3つです。

以下はあくまで目安です。症状の重なりだけで決めつけず、見分けには診察が欠かせません。

よくある成長痛シンスプリントを疑う疲労骨折を疑う
痛む場所決まっていない・足全体すねの内側の広い範囲1点にピンポイント
押したときはっきりしない広く押すと痛い1点で飛び上がる激痛
痛むとき夜・休んでいるとき運動中・運動後休んでも・歩いても痛い

すねの痛みを受診すべきか三段階で整理した信号機の図。◯まず休んで様子見=運動後に内側が軽く張る・休むと翌日は楽。△早めに相談=走ると内側の広い範囲が痛む・押すと痛い。✕すぐ整形外科へ=1点を押すと激痛・休んでも痛い・夜も痛い

いちばん気をつけたいのは、**「1点を押すと激痛」「休んでも痛い」**のサインです。これは疲労骨折の可能性があり、早めの受診が安心です。

なお、夜や安静時の痛みでも、毎晩のように続く・だんだん強くなる・押すと痛い場合は、成長痛と決めつけず受診してください。

ただし、この表はあくまで"気づきのヒント"です。すねの痛みには、別の原因のこともあります。

「2週間」も目安の一つ。それより早くても、運動のたびに痛む・押すと痛いがつづくなら、様子見せず受診してください。

なお、ご家庭ですねを押して痛みを確かめても、診断の代わりにはなりません。あくまで受診の目安です。

早く気づけば、うまく治していける

シンスプリントでいちばん大切なのは、早く気づいて、無理をさせないことです。

多くは負担を減らせば落ち着いていく傾向があるとされます。ただし、期間は人によってさまざまです。

そして「放っておけば治る」と考えるのは危険です。我慢して使い続けると痛みが長引き、疲労骨折へ進むこともあります。

  • 早く気づいて負担を減らす → 治まりやすい
  • 痛みを我慢して続ける → 長引き、疲労骨折のリスクも

整形外科では、問診やすねを押す診察で見分け、必要なら画像検査で確かめます。

疲労骨折は初期にレントゲンへ写りにくいこともあるとされます。だからこそ、痛みが強いときは自己判断せず診てもらうのが安心です。

家庭でできるのは「早く気づいて、早く診てもらう」ことまでです。休み方や対処の中身は、診てもらったうえで医師の指示にしたがいましょう。

すねを守るために、家でできること

強い痛みや、運動で痛むうちは、まず運動を控えて整形外科で診てもらうのが基本です。そのうえで、日ごろから意識したいことが3つあります。

①練習量を見てあげる

痛いのに我慢して走り込むと、すねの負担が積み重なります。「投げすぎ」と同じで、まず"やりすぎ"を減らすのが先です。

②ふくらはぎの柔らかさを保つ

ふくらはぎが硬いと、すねの骨を強く引っぱります。お風呂上がりなどに、痛くない範囲でやさしく伸ばす習慣が助けになるとされています。

ただし、熱や腫れがある・安静にしていても痛む・押すと響くときは伸ばさないでください。始める前に、必ず医師に確認してください。

体の柔らかさはすねも肩肘も守ります。くわしくは体が硬いと怪我や球速に効く話もあわせて読んでみてください。

③体全体をうまく使う

すねだけでなく、股関節やお尻もうまく使えると、着地や走りの衝撃を体全体で受けられます。

力を生むのも同じで、下半身から順に使うフォームは、投球でもふだんの動きでも体の一部への負担を減らします。

そして、いちばん避けたいのが「痛くても気合で走れ」という対応です。痛みは体からのサインで、根性で消すものではありません。

投Laboが大切にしていること

すねの痛みも、根っこは「体をどう使うか・どれだけ使うか」。じつは投球フォームと地続きの話です。

私たちは「たくさんやれば上手くなる」という根性論を取りません。怪我をさせずに伸ばすことを、いちばんに考えています。

すねも肩肘と同じで、痛みが出る前に、練習量と体の使い方から守るのが本筋です。

同じ成長期の使いすぎは、ほかの場所にも起こります。膝(オスグッド病)かかと(シーバー病)腰(腰椎分離症)も同じ仲間です。

膝もかかとも腰もすねも、根は「使いすぎ」でつながっています。

そして、直す課題は一度に1つだけ。あれもこれもと欲張らないのが、遠回りに見えていちばんの近道です。

フォームは自分では見えない — だから一緒に

すねや体への負担には、練習量だけでなく体の使い方のクセが関わることもあります。同じ「痛い」でも、原因は子どもによって違います。

だからこそ、まず動きを見てあげることが大切です。でも、自分の投球フォームは自分では見えません。ここが、いちばんの落とし穴です。

投Laboでは、送ってもらった動画から、フォームの課題を1つに絞って保護者向けにわかりやすくお返しします。

初回の動画でのフォーム分析は無料です(カード不要・動画を送るだけ)。「この体の使い方で大丈夫?」の不安を、まず一度あずけてみてください。

無料でフォーム分析を試してみる

まとめ

  • 成長期のすねの痛みには、**シンスプリント(すねの内側の使いすぎ)**がかくれていることがある。
  • すねの内側の広い範囲が、運動中・運動後に痛むなら、成長痛と決めつけず整形外科へ。
  • 1点を押すと激痛/休んでも・歩いても痛いなら、疲労骨折の可能性も。早めに受診を。
  • 多くは負担を減らせば落ち着くが、「様子見」で我慢して続けると長引く。早く気づくのが近道。
  • 守るカギは①練習量②ふくらはぎの柔らかさ③体全体をうまく使うの3つ。根っこは投げすぎと同じ。

よくある質問

Q. ただの成長痛と、シンスプリントはどう見分ければいいですか?

はっきりした見分けは診察が必要なので、ご家庭では決められません。

目安になるのは、次のようなサインです。

  • すねの内側が運動中・運動後に痛む
  • すねの内側の広い範囲を押すと痛い
  • 痛みが2週間以上つづく

これらが重なるときは、成長痛と決めつけず整形外科で診てもらうのが安全です。

なお「2週間」は目安の一つです。2週間待たなくても、運動のたびに痛む・押すと痛いがつづくなら、早めに受診してください。

Q. すねは痛いけれど、大事な試合には出したいです。続けても大丈夫?

運動で痛む・押すと痛むうちは、無理をさせないでください。シンスプリントは、我慢して続けると長引きやすいとされています。

「大事な試合まで」と思っても、出てよいかどうかは、診てもらった医療機関の指示にしたがうのが安心です。

Q. 疲労骨折とはどう違うのですか?

大きな目安は「痛む範囲」です。シンスプリントはすねの内側の広い範囲、疲労骨折は1点にピンポイントで痛むことが多いとされています。

1点を押すと激痛が走る、休んでいても痛い、歩くだけで響くなら、疲労骨折の可能性があります。この場合は早めに受診してください。

Q. すねを守りながら、投球も伸ばせますか?

はい。すねや体への負担は、ふくらはぎの硬さや体の使い方のクセと関わります。

ふくらはぎや体の柔らかさを保ち、下半身をうまく使うフォームにしていくことは、すねを守ることと上達の両方につながります。まずは痛みをとってから、体づくりに取り組みましょう。