少年野球の牽制のやり方|右ピッチャーの一塁牽制とボークにならない教え方【小学生】

「少年野球のピッチャーに、牽制ってどう教えればいいの?」——そんな保護者の方へ。
元独立リーグ(プロ野球とは別のプロの舞台)の左腕で、いまは投手専門のコーチをしています。
結論: 右ピッチャーの一塁牽制で最初に覚えるのは「軸足を回して、左足を一塁へまっすぐ踏み出す」動きです。速さより、まず"セットで完全に止まる"ことが大事。少年野球はボークの判定が審判で分かれるので、投げ方はチームの指導者にも確認しましょう。
この記事でわかること
- 右ピッチャーの一塁牽制の基本の動き(3つ)
- 少年野球でボークを取られやすい動きと、その直し方
- 家でできるセルフチェックと、牽制のドリル
少年野球の牽制のやり方|右ピッチャーが最初に覚える3つのこと
右ピッチャーの一塁牽制は、次の3つの順番で覚えると崩れません。
| 順番 | やること | ねらい |
|---|---|---|
| ① | セットで構え、余計に動かない | 投げる・牽制する以外の動きはボークのもと |
| ② | 軸足(右足)をその場で回す | 素早く一塁を向く |
| ③ | 左足を一塁へまっすぐ踏み出して送球 | 正確に、速く投げる |
セット(セットポジション)とは、投げる前に一度ピタッと止まって構える姿勢のことです。
なお、完全に止まる必要があるのは打者へ投げる前です。牽制は、止まる途中でも投げられます(公認野球規則5.07(d))。
ただ、子どもは「止まってから牽制」の順で覚えると崩れにくいので、この記事ではその順番で練習します。
いちばんの土台は②の軸足です。
私が子どもに最初に教えるのも、「軸足を回して投げる」こと。
腕の力ではなく、体の向きを変える力で投げるイメージです。
軸足そのものの使い方は、ピッチャーの軸足の使い方でくわしく整理しています。
プレートを外す牽制と、外さない牽制
右ピッチャーの一塁牽制には、大きく2つのやり方があります。
むずかしく感じるかもしれませんが、大事なポイントは1つだけです。
実は、投手板(プレート)を外さなくても、一塁へ投げることはできます。
条件は、投げる前に「左足を一塁の方向へまっすぐ踏み出す」こと。
(気になる方向けに書くと、公認野球規則6.02(a)(3)がこの決まりです。)
ただし、少年野球では審判や大会でボークの判定が分かれます。
だから最初は、プレートを後ろに外してから投げる形で覚えるチームも多いです。
どちらで教えるかは、必ずチームの指導者に確認してください。
「セットで止まれない」「グラブが動く」——ボークでよくある動き
試合で「ボーク!」と言われて、親子でびっくりした経験はありませんか。
少年野球でよく見るのは、次のような動きです。
- セットに入ったのに、体やグラブがモゾモゾ動く
- 一塁へ投げるふりだけして、実際は投げない
- 左足が一塁ではなく、キャッチャー寄りに出てしまう
どれも「わざと」ではなく、動きのクセであることがほとんどです。
つまり、直せる動きだということです。
なぜボークになるの?|取られやすい3つの原因
ボークを減らすには、原因を分けて考えると近道です。
少年野球で多いのは、次の3つです。
① セットで止まってから、体やグラブが動く
セットで止まった後も、首を動かして走者を確認することはできます。それ以外の体の動きは、「打者へ投げる」「牽制する」「プレートを外す」のどれかにつなげます。
そのどれでもないのに、グラブの位置を変えたり肩だけを動かしたりすると、ボークを取られます。
現場から: ボークを取られやすいのは、セットに入って静止してから、グラブが動いてしまうことです。
② 左足が一塁の方を向いていない
投げる前に、左足を一塁へまっすぐ踏み出す必要があります。
足を上げて向きを変えるだけ、キャッチャー寄りに出す、では取られます。
③ プレートに触れたまま、投げるふりだけする
投手板に足を乗せたまま一塁へ「投げるふり(偽投)」をするのはボークです(規則6.02(a)(2))。
走者をだましたいなら、先にプレートを外してから、が基本です。
セットの構えそのものが崩れている場合は、ワインドアップとセットポジションの違いもあわせて見直すと整理しやすくなります。
【セルフチェック】家で今日ためす3つ(合格の数字つき)
牽制の良し悪しは、家の壁の前でも確かめられます。
道具はいりません。下の目安は、投Laboの練習で使っている目標です(規則で決まった基準ではありません)。
① セットで2秒止まれるか
- やり方:声に出して「1、2」と2秒数える
- 合格の目安:10回中10回、体が止まっている
② 左足を一塁へ踏み出せているか
- やり方:床にテープで目標を貼り、そこへ実際に踏み出す(その場で向きを変えるだけにしない)
- 合格の目安:10回中8回、テープの上に踏み出せる
③ 軸足がその場で回るか
- チェック:軸足を1歩以上ふみかえていないか
- 合格の目安:10回中10回、その場で回れる
ここで大切なのは、上手・下手を決めることではありません。
「どこでつまずいているか」を見つけることです。
ただし、同じ「ボークを取られる」でも、原因は子どもによって違います。
セットの静止が苦手な子もいれば、踏み出しの向きがズレる子もいます。
そして、こうしたクセは、投げている本人にはなかなか見えません。
親が横から見ても、動きが速くて判断が難しい場面も多いはずです。
だからこそ、まずはスマホで正面と横から動画を撮るのがおすすめです。
あとからゆっくり見返すと、どこで崩れているかがぐっと分かりやすくなります。
右ピッチャーの牽制ドリル4つ
家や広場でできる、やさしいドリルを4つ紹介します。
実際に強く投げず、動きの形を固めることが目的です。

1. セットで止まる「2秒静止」ドリル(打者へ投げる前の練習)
- やり方:セットの構えで両手を止め、「1、2」と2秒数える。
- 回数×セット:10回×2セット。
- 親のチェック:グラブと肩が、ピタッと止まっているか。
- できているサイン:2秒のあいだ、体のどこも動かない。
2. 軸足を回す「回転ステップ」ドリル
- やり方:床の線に軸足(右足)を置き、その場で回して一塁を向く。ボールは投げず、動きだけ。
- 回数×セット:ゆっくり5回+速く10回×2セット。
- 親のチェック:軸足を遠くへふみかえていないか。
- できているサイン:軸足を踏みかえずに、すっと一塁を向ける。
3. 左足を一塁へ「踏み出し方向」ドリル
- やり方:一塁方向にタオルを置き、左足をタオルの上へまっすぐ踏み出す。
- 回数×セット:10回×2セット。
- 親のチェック:その場で向きを変えるだけになっていないか。踏み出す方向が内や外にずれていないか。
- できているサイン:10回中8回、タオルの上に踏み出せる。
4. 走者を見る「目線」ドリル
- やり方:親が走者役になり、その動きを見てから動作する。この記事の練習では、止まる→見る→投げる、の順で行う。
- 回数×セット:10回×2セット。
- 親のチェック:セットで止まってから目線を送れているか。
- できているサイン:止まる・見る・投げるの順番が崩れない。
やりがちなNG→正しい方向
牽制でよくある勘違いを、正しい方向とセットで整理します。
- NG:「プレートを外さないと必ずボーク」と思い込む → 自由な足を一塁へまっすぐ踏み出せば、外さなくても送球できます(規則6.02(a)(3))。ただし判定は審判で分かれるので、指導者に確認を。
- NG:プレートに触れたまま投げるふりで走者をだます → これはボーク(6.02(a)(2))。だますなら、先にプレートを外してから。
- NG:牽制ばかり練習して、投球が乱れる → 牽制は「打者との間をずらす道具」。私の経験では、牽制ばかりに意識が向くと、打者への制球が乱れる子がいます。 → 状況によっては、牽制を気にしすぎなくてよい場面もあります。コントロールを良くする方法も合わせて。
そして、よくある通説がもう一つ。
「小学生に牽制はまだ早い」という声です。
私は、投手ならみんな覚えるべきだと考えています。
現場から: 走塁が上手い選手の中には、左投手より右投手の牽制のほうがわかりづらい、と言う子もいます。走者の動きの逆を突く一塁牽制は、右ピッチャーの立派な武器になります。
ただし、投げるだけで精一杯の投げ始めの子は、まず投球ができるようになってからで大丈夫です。
牽制も"投げる"動き|痛みと投げ過ぎに注意
牽制も、腕を使って投げる動きです。
投球数と同じように、体には負担がかかります。
すでに肘や肩に痛みがあるときは、投げるのを止めて整形外科を受診してください。
痛みや強い疲れのサインが出ているときに、無理に牽制を練習させないことも大切です。
私は根性論で速い球を投げさせる指導はしません。
元独立リーグの左腕として、そして投手専門のコーチとして、大事にしているのは「怪我をせず、長く投げ続けられること」。
そのうえで、牽制のような"自分を助ける武器"を一つずつ増やしていきます。
とはいえ、牽制のクセは、家で見ているだけでは気づきにくいものです。
投Laboでは、お子さんのフォームや牽制の動きを、初回無料で動画分析しています。
気になる方は、無料のフォーム分析から、まずは動きを見せてください。
まとめ
右ピッチャーの一塁牽制で、最初に覚えることを整理します。
- 土台は「軸足を回して、左足を一塁へまっすぐ踏み出す」こと
- ボークを取られやすいのは、セットで止まってから、投げも牽制もせずにグラブなどが動くこと
- プレートを外す・外さないは、審判で判定が分かれる→指導者に確認
- 牽制に意識が向きすぎると、制球が乱れる子もいる。武器の一つとして少しずつ
家でのセルフチェックとドリルで、まずは動きの形を固めていきましょう。
よくある質問
Q. 牽制は何年生から教えるべきですか?
投手になったら、学年に関係なく少しずつ覚えていいと思います。
ただし、投げるだけで精一杯の投げ始めの子は、まず投球が安定してからで大丈夫です。
Q. 右ピッチャーは、プレートを外してから投げた方が安全ですか?
少年野球ではその方がボークを取られにくく、初心者向けです。
外さない牽制は速い反面、判定が分かれます。
どちらで覚えるかは、チームの指導者に確認しましょう。
Q. セットで止まる時間は、何秒くらいが目安ですか?
打者へ投げる前は、完全に静止することが求められます(牽制の前は必須ではありません)。
時間の決まりはありませんが、家の練習では2秒ほど止まる感覚で覚えると安心です。
試合でも、自然と止まりやすくなります。
Q. 牽制が下手だと、試合で使わない方がいいですか?
無理に使う必要はありません。
走者を気にしすぎて制球が乱れるくらいなら、打者に集中してよい場面もあります。
牽制は「間をずらす道具」と考えましょう。
Q. 左ピッチャーの牽制は、右ピッチャーと同じですか?
足の運びが変わります。
左投手は一塁走者と正面から向き合える強みがあります。
くわしくは左ピッチャーの牽制とクイックを読んでみてください。