子どものボールの投げ方がおかしい・ぎこちない原因|直し方と親ができること

「うちの子、投げ方がなんだか変かも」。
「まわりの子とくらべて、ぎこちない気がする」。
そんなお子さんの様子を見て、不安になっていませんか。
こんにちは。投手専門オンライン野球塾・投Laboの野村亮太です。
私は元独立リーガーの左投手で、今はコーチとして、たくさんの子の投げ方を見てきました。
この記事では、ぎこちない投げ方に多い原因と、家で親ができることを、野球未経験の保護者にもわかるようにお伝えします。
結論: 投げ方がぎこちないのは、才能のせいではありません。多くは、まだ体の使い方に慣れていないだけです。よく見られる原因は、次の4つです。
- 腕だけで投げている(手投げ)
- 体(胸・肩)が早く開いてしまう
- ひじが下がっている・ボールを担いでいる
- 踏み出す足の向きや体重移動がバラバラ
どれか1つのことも、いくつか重なることもあります。そして原因は、子どもによってちがいます。
「投げ方がおかしい」の多くは、才能ではない
まず、安心してください。
投げ方がぎこちなくても、運動神経が悪いわけではありません。
ボールを投げる動きは、じつはとても複雑です。
下半身から体、腕へと、力を順番に伝えて投げます。
この体の使い方は、生まれつきできるものではありません。
正しい形を知って、くり返すうちに、少しずつ身についていきます。
だから「投げ方が変」の多くは、まだ投げ方の"型"(正しい形)を教わっていない・慣れていないだけのことがほとんどです。
※もし投げると痛がる、他の動きも極端にぎこちない、といった心配があるときは、自己判断せず、かかりつけ医などに相談してください。この記事では野球の「投げ方」にしぼってお話しします。
ぎこちない投げ方に多い「4つの原因」
投げ方が「なんだか変」と感じるとき、原因は大きく4つに分けられます。
たくさんの子を見てきて、とくに多いものをまとめました。
① 腕だけで投げている(手投げ)
いちばん多いのが、これです。
下半身や体を使わず、腕の力だけで投げる状態を「手投げ」と呼びます。
腕だけで振ると、動きがぎこちなく、弱々しく見えます。
球にスピードや勢いが出ず、肩やひじにも負担がかかります。
本当は、腕は「振る」より「振られる」もの。
下半身と体の回転で、腕が自然についてくるのが理想です。
くわしくは手投げの直し方で解説しています。
② 体(胸・肩)が早く開いてしまう
次に多いのが、「体の開き」です。
投げる方向へ、胸や肩が早く向いてしまう状態をいいます。
体が早く開くと、腕が遅れて出てきます。
だから動きがバラバラに見え、コントロールも定まりません。
グラブ側の腕(ボールを持たないほうの手)をうまく使い、ぎりぎりまで開かないことがポイントです。
くわしくは体が開く原因と直し方へ。
③ ひじが下がっている・ボールを担いでいる
投げるときに、ひじが肩より下がっていないでしょうか。
ひじが下がると、腕に無理な力がかかります。
その結果、動きがぎこちなくなり、肩やひじのケガにもつながりやすくなります。
ボールを頭の後ろへ大きく引きすぎる「担ぎ込み」のクセも、ひじ下がりの原因のひとつ。
くわしくは肘が下がる原因と直し方へ。
④ 踏み出す足の向き・体重移動がバラバラ
投げるときに前へ出す足を「踏み出し足」といいます。
この足の向きや、体重の移し方がバラつくと、投げ方全体が安定しません。
つま先がホームの方向を向き、体重をなめらかに移せると、動きが落ち着きます。
くわしくは踏み出し足の向きへ。
大切なのは、原因は1つとはかぎらないということ。
いくつか重なっていることも、めずらしくありません。
家で親ができること——順番に、1つずつ
原因がわかっても、あれもこれもと直そうとすると、子どもは混乱します。
投Laboがおすすめするのは、直す課題を1つにしぼること。
あせらず、次の順番で見ていきましょう。
- まず、正しい投げ方の"全体像"を知る 細かい部分より先に、体全体の流れをつかみます。→正しい投球フォームの基本
- 近い距離で、ゆっくり正確に 強く遠くよりも、相手の胸へていねいに。キャッチボールが最高の練習になります。→キャッチボールの正しいやり方
- 下半身から動く感覚を育てる 腕から始めず、足から体の回転で投げる感覚をつかみます。→下半身の使い方
- 気になる1点だけを、やさしく声かけ むずかしい言葉より、子が動きやすい言葉で伝えます。
声かけは、言い方ひとつで動きが変わります。
やりがちな声かけを、○と×で見てみましょう。
| 場面 | ✕ 伝わりにくい | ○ 動きやすい |
|---|---|---|
| ひじが下がる | 「ひじを上げろ」 | 「胸を張って、遠くを見て」 |
| 手投げ | 「腕を強く振れ」 | 「足から動いてごらん」 |
| 体が開く | 「開くな」 | 「おへそを最後まで残して」 |
「こうするな」より「こうしてみよう」のほうが、子どもは動きやすくなります。
「たくさん投げれば直る」は、逆効果になることも
「とにかく数を投げれば、そのうち直る」。
そう考えたくなりますが、ここは注意が必要です。
疲れた状態で投げ続けると、崩れた動きが体にしみ込みます。
悪いクセを固めてしまい、ケガの原因にもなりかねません。→投げすぎのサイン
大事なのは、量ではなく質です。
正しい形を、少ない数でていねいにくり返す。
そのほうが、ぎこちなさを直す近道になります。
私自身、体が大きいほうではなく、独立リーグでは非力な左腕でした。
それでも投げ続けられたのは、力任せではなく、体を効率よく使うフォームを覚えたから。
だから断言できます。ぎこちなさは、根性ではなく"正しい順番"で直っていきます。
それでも「なんだか変」が消えないときは
ここまで読んで、こう感じた方も多いはずです。
「原因が4つもあって、うちの子がどれなのか分からない」。
その感覚は、とても自然なものです。
じつは、投げ方の原因は子どもによってちがい、いくつも重なります。
そして、いちばんやっかいなことがあります。
投げている本人も、見ている親御さんも、自分ではフォームを正確に見られないのです。
投げ方は、一瞬の動き。
肉眼では、どこが崩れているのか気づきにくいのです。→フォームの撮り方
だからこそ、スマホで撮った動画を、外の目で見てもらうことをおすすめします。
投Laboでは、投手専門のコーチが、お子さんの投げ方を動画で分析します。
初回の分析は無料です。
どこから直せばいいか、原因を1つにしぼってお伝えします。
気になったら、まずは気軽に試してみてください。
まとめ
最後に、大切なポイントをふり返ります。
- 投げ方のぎこちなさは、才能ではなく**"慣れ"と"型"**の問題であることがほとんど
- 多い原因は手投げ・体の開き・ひじ下がり・足のバラつきの4つ
- 原因は子どもによってちがい、いくつも重なることがある
- 家では、課題を1つにしぼって、順番にやさしく
- たくさん投げるより、少なく・ていねいにが近道
- どこが崩れているかは自分では見えにくい→動画で外の目を借りる
あせらなくて大丈夫です。
正しい順番で見直せば、投げ方は必ず変わっていきます。
まずは、お子さんの"今の投げ方"を、いっしょに見てみませんか。
よくある質問
Q. 投げ方がおかしいのは、運動神経が悪いからですか?
いいえ、その多くは運動神経ではなく、体の使い方に「まだ慣れていない」だけです。ボールを投げる動きは複雑で、正しい形を知ってくり返すほど自然に身についていきます。今できないことは、これからできるようになります。
Q. 何歳から直せますか?早く教えたほうがいいですか?
年齢に決まりはありません。小学生でも、中学生でも、投げ方は見直せます。ただし、無理に矯正すると力んでしまうことがあります。まずは近い距離でのていねいなキャッチボールから、やさしく整えていきましょう。→キャッチボールの正しいやり方
Q. 家で親が教えると、かえって変なクセがつきませんか?
言い方に気をつければ大丈夫です。「こうするな」より「こうしてみよう」と伝え、直す点は1つにしぼりましょう。それでも不安なときは、投手専門のコーチが動画で客観的に見ることで、正しい方向を確認できます。
Q. どのくらいで良くなりますか?
個人差が大きく、一概には言えません。原因が1つなら早いこともありますし、いくつも重なっていれば時間がかかります。だからこそ、まず「今どこが崩れているか」を正しく知ることが、いちばんの近道になります。